んだい? ハハどうした、やられたのかい?
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アサは面喰つて言葉も出ず、眼をパシパシさせてゐる。
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客二 用心しなきや、いけないよ、夜中になると、いろんなのが出るよ……。(杯をなめる。そこへ「おぢさん、花買つて頂戴」と言つて入つて来た小娘)そら出た。(アサ飛上る)ハハいらないよ。
娘 みんなで十銭にしとくから、買つてよ。おら、もう眠いから、まけちまう。(なるほど眼がくつつきそうだ)
客二 眠いのか? ……フン、ぢや買つてやらう。ほい。
娘 (金を受取り)ありがたう……(花を渡してフラ/\した足つきで出て行く)
客二 ハハ。(花をポケツトにねぢこんで)今、幾時だい?
アサ ……もう、二時過ぎかと――
客二 眠い筈だ……だが俺は、三時を廻つたかと思つてゐた。
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不意に階上で人の喚き立てる声(主として白木と鉄造とミル)。続いてドタバタドシンと言ふ騒ぎ。客二天井を仰ぐ。
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客二 いけねえ、酒ん中にホコリが落ちて来やがつた。
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二階の騒音の中でミルの声「こん畜生!」、白木の声「あぶない
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