帰らう。ね、タカちやん!
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球台の上に脱ぎ捨ててあつたワンピースをドンドン着る。ダンサー二も急いで仕度する。
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ミル いけないよ。未だ済まないぢやないの!
ダンサー二 だつてもういや。マゴマゴしてゐると、なにされるか判りやしない。
ミル なにさ! ルンペンなどにビク/\してゐて、ここいらに住めると思つて? 馬鹿々々しい。
ダンサー一 そりやア、ミルちやんは帰らなくともいいから強い事が言へるけど……
ミル ぢや、泊めたげる。やる所まではチヤンとやつちま〈お〉うよ。
ダンサー二 唯のルンペンならいいけどね。
ミル ぢや、なにさ? (又窓を覗く)あたしが追つ払つて来てやる。
修 よせよ、危い。それに先方がなんにしろ、往来を歩いてゐるのを、ハタからどつか〈へ〉行つちまへとも言へやしないぢやないか。
ダンサー一 そりやアさうだわ! ぢや、あたし、帰ろウツと!
ダンサー二 でもいやだなあ、二人きりで出て行くの。
ミル それごらん、弱虫! イーだ。
ダンサー二 そんな意地の悪い事言はないで。ぢや、田所さん、一緒に帰つてよ、ね。どうせあんたも帰るんでせう。
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