修 あゝ。
ミル だめだよ、修さんにはまだ弾かせるんだから。
ダンサー一 フーンだ。あとで二人きりで、気分を出さうつて、言ふんだらう? みんな知つてゐますやうだ。
ミル 引つ掻くぞ。(でも耳の附根を赤くして、てれて笑つてゐる)
ダンサー一 よきぢやねえ!
ミル 早く帰つちまへ。
ダンサー二 でも困つたなあ、ぢや修さん、ホンのそこ迄でいいからお願ひ。
ミル チエツ、仕方がない、僕が駅んとこ迄、行つたげる。(すばやくワンピースをかぶつて着る)修さんをやると、なんだかだと言つて又連れてつてしまふから。
ダンサー一 ミルが焼きます。(と言つといて逃げ出す)
ミル 此の、馬鹿ヤロヤイ! (片手で洋服を引つぱり下げながら小犬の様に相手に飛び附く)
ダンサー一 さ、行かうつと。さいなら。(ドアを開けて消へる)
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ミルとダンサー二も一緒に肩を組み、ふざけながら外へ出て行く。ドアが開くと、階下のバアで鳴つてゐるレコードの音楽と歌が、急にハツキリと聞こえて来る。
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修 (窓から往来の方を見おろしてゐる) ……あ、来た!
お辻 なんですつて?(窓へ寄る)
修
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