もう、とうに博士になつていゝんだが、論文なんか愚劣で書く気がしないと言ふんださうだ。
美緒 ……京子さん、なんだか、あなたに興味を持ちはじめてるんぢやないかしら?
五郎 馬鹿な事言ふな。……ハハ、さうだ。興味と言へば、変つた生き物がゐるから見てやれと言つた眼付きだね。
美緒 いえさ……。
五郎 そら、無言の行、無言の行。……赤井達はおそいなあ。……俺あチヨツトひと仕事やらうか。……よし。(立つて、手で美緒の額の熱を計つて、うなづいてから、ヅカヅカと廊下を通つて湯殿に消える)
小母 (それを見送つてから)……奥さん、お気分どうどす?
美緒 ……(コツクリ)
小母 (ニコニコしながら)こうんな所までペトペトに白粉塗らはつて、(と京子の真似)さうですわよ! はあ、さうですわ! こうどす。可愛らしいモダンガエルはんどすけど、えらい鼻が天井向いてはりまんなあ! アツハハ。(美緒がニコニコするのに満足して茶の道具や座蒲団を片付けに居間の方へ。そこでゴトゴト片づけ物をしてゐる)
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間。
 美緒はジツと動かない。……やがて、ソロソロ自分の頬を撫でゝ見る。それから枕元に差し込んであ
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