下げ]
間。
五郎何とも答へられないで、美緒の顔を見守つてゐる。美緒も、五郎から眼を離さない。殆んど憎しみを込めたとも言へる位の睨み合ひである。
[#ここで字下げ終わり]
五郎 ……(咽喉がカスカスになつた様な声で)在る。
美緒 ……ほんと?
五郎 お前は俺の神様だ。……お前が育てゝ大きくしてやつた託児所の子供達は、お前の神様だ。
美緒 そんな事ぢや無いの。……私の言つてるのはね、……死んでから……死んだ後に……そんな世界が在る? 居るの?
五郎 さうか。そんな事をお前……(二三度喘いだ末に)居るよ。在る!
美緒 だつてあなた唯物論者ぢやなくつて?
五郎 ……。なんか知らんが、在ると思ふから仕方が無い。
美緒 ……ああ。(疲れてガツカリして)……あなたオデコから汗を流してゐるわ。
五郎 (やつとホツとして)お前だつて汗を出してるぞ。……ああ、注射だ注射だ。忘れるとこだつた。ハツハハ、はぐらかしちまはうと思つて、宗教問題に引つかけたな?
美緒 (涙ぐんでゐる)フフフフ。さうかも知れないわ。だつて痛いんだもの。
五郎 駄目だと言つたら駄目だ。
美緒 かんにんして! その薬だけはホントに痛
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