り]
小母 ……あの、五郎はん。(居間から手まねく)
五郎 ……なんです?
小母 ちよいと――。
五郎 え? (立つて居間の方へ行く)なんです?
小母 (台所の外に誰か来てゐることを手真似でして見せて)奥さんの生徒はん達、見えはつて――。
五郎 え、生徒? 託児所の子達ですか? へえ、何人位?
小母 三人どす。先に御見舞ひに来やはつたのと違ひます。直ぐに通して奥さんコーフンなすつたら、いけん思うたもんどすさかい――。
五郎 さうですか。……(と万葉集を片手に持つたまゝ台所口へ消える)
小母 ……(病室に美緒を見に行く)奥さん、いかゞどす?
美緒 ……(うなづいて見せる)
小母 ……(美緒の額に手を当てたり、吸入器の加減を直したりしながら)また五郎はん、書物読んで呉れはつてゐるのどすか。……なんぞお飲みになりまつか?
美緒 ……(かぶりを横に振る)
小母 どすかいな。んでも、なるべく、なんぞ飲むか食べるやうになさらんといけまへんぜ。
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そこへ五郎が戻つて来る。
[#ここで字下げ終わり]
五郎 ……美緒。あのなあ、……託児所の子達が見舞ひに来てくれた。お前の手がけた子
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