かつたらしく相手を見詰めてゐたが、突然にその意味を掴むと喉の奥でグツ! と変な音をさせ、真青になつてキヨトキヨト四辺を見廻した末に、眼を据ゑて空を見詰めて低く唸る)……うゝ!
比企 もう止さう、……どうしたんだい?
五郎 (片手で両眼を掻きむしるやうに撫でる)……いや。うむ……比企さん、……僕あ、美緒を助けたいんだ。美緒ですよ! 美緒ですよ! 美緒だけは今死なしたく無いんだ!
比企 ……。
五郎 僕の言ふ事が気に障つたら、かんべんして下さい。あやまる。あいつに死なれたら、僕あ全体どうすればいゝんだ。僕あ、僕あ此の際、少しでも効果の有る方法なら、どんなものでも、たとへどんなものでもやつて見せる。なんでもいゝ、彼奴を此の世につなぎとめて置くためになら、僕あどんな事でもする! たとへ、どんな事でも! どんなインチキでも恥知らずな事でも。……漢法をすゝめられてゐるんだけど、どうなんでせう?
比企 さう、漢法も場合に依つて良いけど、結局システムこそ違へ基礎的には同じものなんだからな。それに漢法には民間の素人療法や迷信と言つた風のものが大部入りこんでゐるからねえ。
五郎 ……素人療法だつて迷信だつ
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