を、どんな事があつても、これつきりにしたく無い! たまらん!
比企 わかるよ。君としては、さうだらう。……しかし、今のまゝで行つても、駄目と決つたわけぢやないし、第一僕の言ふのは、金の問題も金の問題だけど、それよりも、現在、僕の見る所では、君がかうして附いて実行してゐる奥さんの療養生活は、全体としてどんな病院にもサナトリウムにも劣つてはゐないからなんだ。
五郎 しかし、それがなんにもならないぢやありませんか。……僕あ、彼奴を取られたら困るんだ! 僕あどうしていゝか解らなくなる! 死なしたく無いんだ! なんとか方法はないんですか? なんとか、なんとか、なんとかして――。
比企 ……君がそんなにイライラしちやいかんなあ。……君は家で奥さんの前にゐる時にはあんなに落着いてゐるくせに、此処へ出て来ると、どうしてそんなに調子が違つちまふのかね? 此の前来た時にも気がついたんだが。
五郎 そんな事あどうでもいゝんだ。ホントに頼むから、なんとか、なんとかして――。
比企 困るなあ。……君も、奥さんが病気になつて以来、基礎医学から勉強しはじめた位で、これまで医学的に有効な方法は全部採り尽して来てゐるん
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