々澄み通つて来てしまつて、なんと言ふか、現実離れがしたみたいになつてゐる。出しぬけに神様は有るかなんて訊くんですよ。そいから自分の周囲の人間に対して、なにかムヤミと温い事を言つたりしたりする様になつた。それが自分はもう別の世界にゐるものと決めて、そこからまだ生きてゐる僕等を見て親切にしてゐるやうな感じなんだ……。
比企 さうかね。でもそれはあの人の本来の性質ぢや無いのかねえ。いづれにしても、そいつあ僕の領分ぢや無い。僕にや身体の事しか判らんな。……さう、身体の方はまあ脱落症状と言ふかな。つまり一種の虚脱した様な状態だね。
五郎 すると、どう言ふんですか? 良いんですか悪いんですか?
比企 さうだな、……一つの大きな発作だけを単位にして考へると、それが一応おさまつた状態なんだから、まあ良いとも言へるけれど……病気全体の経過としては、あまり良いとも言へんね。発熱が殆んど無い……無いのは結構だが、見方に依つてはそれが却つて良くないとも言へるんだ。そこん所は、もつと専門的に説明しないとホントは解らないんだが、早く言ふと、あれだけの患者に発熱が伴ふのは実は当然なことなんで……つまり、それが身体が
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