しやるの? そんな――。
五郎 (不意にニヤニヤして)キビが悪いですか? ハハ、さうなんですよ。でも、人間は一刻一刻に死んでゐるんですよ。少しづゝ、一刻一刻に死につゝあるんです。自分でも知らない間に、少しづつ死につゝあるんです。この地面は曾て死んだ人間の死骸で充満してゐるんです。いや、地面それ自体がソツクリ曾て生きてゐたものの死骸なんだ。さうでせう? さうなんですよ。人間の身体だつて、毎日々々死んで行く細胞の墓場です。新しい細胞は、墓場の上にしか生れて来ないんです。……戦争が有つてゐます。戦争が有つてゐます。戦争……それがどんなものだか、あなた解りますか? 解りますか?……赤井に子供が生れようとしてゐますよ。子供?……それが何だか解りますか? 同じ事なんですよ。同じ事なんだ。赤井は向うで倒れるかも知れません。多分、どうもそんな気がします。そんな気がしていけない。えゝい畜生! 彼奴も死ぬ!……その後で子供が生れる。彼奴の子供が生れる。いくら考へても、どんな訳があるのか解らん。しかし、生れる。……あなたの、身体だつて同じだ。美しいですよ。僕は画描きだから美しいものは見える。美しい。あなたの
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