へてやるんです。寝台から静臥椅子にうつす時に。……軽い。……まるで真綿でもかゝへてゐるやうに軽い。……肉がまるで無くなつちやつてゐるんだ。そのたんびに、僕はズキーンとするんですよ。ズキーンとする。……これが以前ヅツシリと重かつた女です。……をんな。……さうだ、彼奴はもう女では無いんです。それでゐて、彼奴はやつぱり女ですよ。妙な気がする。彼奴の身体の事は一切合切、全部、僕は知つてゐる。それでゐて、なんか、とても妙な気がするんです。
京子 お気の毒ねえ。(ホントに同情してゐるのである)
五郎 いや、そんな意味で言つてゐるんぢや無いんです。そんな殊勝らしい気持で言つてるんぢやない!……どうか、かんべんして下さい。
京子 なにをおつしやつてゐるのか、わからないわ。御気分が悪いんぢやなくつて?(心から心配さうだ。此の女は、五郎と二人きりになると、急に女らしく受動的に素直になる。従つて又、利男その他を相手にしてゐた時の高飛車な輝きも失つてしまつて、極めて平凡な女になつてしまふのである)
五郎 なあに、なんでもありませんよ。少しグラグラするだけです。
京子 でも、なんですか、もつと休養なさる様にしな
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