と落着いてしまふ。やれやれと言ふ所だ。あゝあ!
利男 実際、すみませんねえ。五郎さんにばつかり苦労させて。
五郎 なんだよ?……利ちやんが、そんな風に言はなくつてもいゝよ。僕は辛いとも何とも思つてやしない。……美緒が変なことにでもなると、多分、もう俺も駄目になるかも知れんからなあ、つまるところ自分が可愛いゝから、かうしてゐる様なもんさ。
利男 ……母さんが、もう少しシツカリしてゐて、代り合つて看病でもしてくれるといゝんだけど……。
五郎 いやあ……いやね、看病はいゝから、ただ美緒に変なこと言つてくれないと、ありがたいけどね。
利男 ……この前も、なんか名古屋の家の話をしたんぢやないんですかね?
五郎 うん、チヨツト。
利男 やつぱりそれで姉さん悪くなつたんだな?
五郎 いやいや、さう言ふ訳もないが……。
利男 僕があれ程反対しても母さんは言つちまふんだからな。大体、名古屋の財産なんか、いくらの物でもありやしないし、初めから美緒姉さんの物なんだから、今更僕等がヤイヤイ言へた訳のもんぢやないんですよ。事実僕なんぞ、そんな物無くたつていゝんだ。そりや金は欲しいけど、それは姉さんの病気が治つて
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