…あなたは、久我さんの事など、どんな風に思つてゐるんです?
京子 久我さん?……五郎さんのこと?
利男 さうです。
京子 才能のある画家だと思つてゐるわ。それに奥さんが御病気でお気の毒ね。
利男 僕の言つてゐるのは、そんな事ぢやありませんよ。あの人の性格のことですよ。
京子 ……暗いわね。あの方を見てゐると私時々、ゾツとすることがあるわ。近頃益々さうぢやない? それに、ひどい独断家ね。良い意味でも悪い意味でもいつもドグマしきやあ持つてゐない人だわ。現に奥さんの病気だつて、もしかすると、あんな事をしてゐるよりも、奥さんだけサナトリウムにでも入れた方がいゝかも知れないでせう。だのに久我さんはそんな風には絶対に考へられない人なのよ。もつとも奥さんだつて、現在のやうにしてゐる以外の事は考へられないでせうけどさ。だから、それの良し悪しを言つてゐるわけぢや無いの。なんか、運命と言つたやうな物を感じるわ。結局、自分と言ふものをローソクみたいにして、そのローソクに火を附けて燃してゐる人よ。その火の光で人を見るんだわ。……あのまゝでだんだん行つてゐると、下手をすると気が変になるんぢやないかしら。……でも
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