話したいんですよ。でも、どう言ふのかなあ、あんまり話す事なんか無いなあ。
五郎 俺あ、なんかまだ大事な事を話してないやうな気がするんだが、それがどんな事だか思ひ出せないんだ。かんじんの事が出て来ない。頭がしびれた様になつちやつた。睡眠不足のせゐかな、チエツ!
赤井 ビールのせゐだよ、僕あもうフラフラだ。
赤井 美緒さん、あなたの託児所の方は、その後どうなつてゐるんです?
美緒 えゝ、畑さんやなんかが続けてくれてゐるんですの。その後あそこも――。
五郎 お前黙つてろ、俺が話す。その後あすこも経営難で一時は閉鎖しちやつたりした事があるがね、あれつきりになつたら、美緒なんか、こんな病気にまでなる位に骨を折つて創立した所だしね、あきらめがつかないんで、とてもヤキモキしてゐたんだ。第一、あの近所の貧乏なお神さん達がトタンに困るんで、色々気をもんでゐたら、やつと、あの地域の家庭購買組合の方で引受けてくれたんだ。そいでやつと命がつながつてズーツと続いてゐるが、面白いもんぢやないか、美緒たちの育てた子供達がいつの間にか大きくなつて、こないだも四五人でお見舞ひに来てくれた。それぞれ女工さんになつたり職工
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