しむだらうと思ふんだよ。……うゝん、籍は半年前に入れたから、その点はいゝんだ。だが親父が病身だからね、もし死にでもすると、その後始末、つまり遺産……と言つても大して無いらしいが、そんなこんなでゴタゴタするだらうと思ふんだ。兄弟は多いし、母は気むづかしいし、とても複雑なんだからな。
五郎 よろしい、俺が責任を以て引受けた。大丈夫だ。
赤井 ありがたう。……これでもう心配な事は一つも無いよ。もう一つ飲むかな。今日はどう言ふんだかビールが馬鹿にうまい。
五郎 よし……(と注ぐ)そいで、なにかい、伊佐子さんの生活費やなんかは?
赤井 うん、それは社の方から僕の留守中、月給全額支給して呉れることになつてゐるんだ。
五郎 そいつは、ありがたい。そんな点、君の雑誌は気持がいゝな。もつともそれが当然なんだけど。
美緒 ……伊佐子さん、おそうござんすねえ。もうあと一時間半位しか無いのに。
赤井 もしかすると今日も家を出られないかも知れませんよ。なんしろむづかしい家で……
美緒 でも、いくらなんでも、こんな際に……。
赤井 いゝですよ。話すだけの事はスツカリ話しちまつてあります。それよりも僕あ久我ともつと
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