……人の事はどうでもよい。欣二、お前は少し自分の事を考えたら、どうかな? お前は、どんなわけで、そんな風になってしまった?
欣二 ……全く、人の事はどうでもいいんですよ。お父さん、あなたは少し自分を考えたらどうです? なぜ、お父さんは、そんな風に痩せこけてしまった?
双葉 ちい兄さんの、バカ!
柴田 私は冗談言っているのではない、まじめだ。……お前は一二年前迄は立派な青年で、まじめ過ぎる程まじめな――それがこんなふうになって――
欣二 ダス・イスト・アイン・メルヘン。僕は冗談を言ってるんじゃない、まじめです。あなたは一二年前迄は、温厚篤実な立派な学者で、学生達からは人望が有って――それがこんなふうになってと――いまだに温厚篤実な学者かあ。なあんだい!
誠 (黙々として聞いていたが)……欣二。
欣二 …………?
誠 僕の言うのを聞いてくれ。……僕が何か言うとすぐお前のカンにさわるらしいから、なるべく俺ぁ言わんようにして来たが、今日は、まともに俺も言うから、聞いてくれるかい?
欣二 ああ聞くよ。酒の肴《さかな》に説教もオツだ。
誠 (相手の嘲弄の調子を無視して冷静に)すぐそんなふうに取るの
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