外部からの力が比較的無くなった。正しい公平な日本の歴史が出来あがるのはこれからだろうと思われる。私など、これからこそ、古事記や記紀の類や万葉その他の古典が国民全般に研究される必要が有ると思っている。古い時代に限らない、徳川以後、明治維新以後の近世の事にしたって、ホントに学問的に検討されるのはこれからだね。少くとも検討され得るのはこれからだ。私らはそれをやらなくてはならん。いや、私などに何程の事もやれんかも知れんが、それはまあ、私ら自身は捨石になってもよいからとにかく、これから、やらなくちゃならん。こうしてまあ、さんざんのありさまだが、此の国の将来の事を思うと、参ってばかりも居れない。むしろ、この国が生きるも亡びるのも、これからの事だと言う気がする。そう思うと、私など丁度二十代の、学問をはじめたばかりの時分のような気分になる。まあ、暮しの方は又飜訳の仕事でもやりながら――
三平 そりゃ……そりゃねえ、そんだけ兄さんが若返った気持になってるのは結構だけどですよ、なんだ、気だけ立てて見ても、身体がそんなに弱っていちゃ、どうにもなるまいと思うんだが――それが大事な点だと私は思いますがねえ。第一
前へ
次へ
全142ページ中50ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング