欣二 (父から突飛ばされた拍子に、椅子にドシンと掛けたまま、ポカンとしていたがやがて手斧に眼をやってニヤニヤ笑い出している)……フー。
柴田 ……(まだ自分のしたことがよくは理解出来ないらしく、ボンヤリ立っていたが、急にフラリと身体がゆれたかと思うとストンと前のめりに倒れる。失神したらしい)
双葉 ……(その父の様子に口の中でアッと言って左手をあげて空を掴むが、驚愕と恐怖のためにまだ動けないでいる。その美しい顔の左半面が鋭く凝結したように青白い)
欣二 ……(ニヤニヤしていた顔が、そのままでひきつったようになり、そしてふざけるような手つきで片手が頬を掻くような事をする。又ニヤリとする。両手が顔を蔽う。しばらくそうしている中にグーと言うような声を出す。しばらくしてから又同じような声……低い、地の底からのような慟哭が湧きあがって来て、次第にそのあたりをゆるがすように強くなる)
[#ここから2字下げ]
(上手の隅の壁の前では一同から忘れられて突立っている若い男が、此方を向いて、ていねいに何度もお辞儀をしている)
[#ここで字下げ終わり]
[#地から1字上げ]―― 幕 ――
底本:「三好
前へ
次へ
全142ページ中141ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング