して此の家を支えて来たかさえも、兄さんは知りゃしないんだ。何よう言っていやがる。
誠 (真青になり、しばらく黙っていた末に、双葉に)そんなに僕の食費は足りないかね?
双葉 いいえ、そりゃしかし、兄さんだって社から貰えるお金が、そんなにたくさんは無いんだから――いえ、そんな事なんでもない。(欣二に)私は自分の事を犠牲になっているとも、苦しいとも、考えたことは一度だって無いわよ!
誠 ……そうか。そりゃ、僕が悪かった。……そうか。……(柴田に)お父さん達をそんなに食いつぶしていたとは、僕は思っていなかったんです。僕の入れているもので充分だとは、まさか思ってはいなかったけど――忙しいのと……月給が安いんで……ついウッカリしていて……(双葉に)フーちゃんすまなかった、僕ぁ――
三平 (スッカリ酔って)ヒヒヒ、えらい所で、足もとをすくわれたねえ。だから言わん事じゃない。
柴田 なに、そ、そんな、そ、食いつぶしていたなんて事があるものか! 多少そんな事があったとしても、なに、そ、そりゃ、お互いで――親子兄弟の間で、そんな事ぐらい――
誠 僕ぁ、明日からでも此の家を出て行っていいんです。
欣二 アラ
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