してくれたらどんなもんだろう。フフ、俺ぁ――(語調が、変にユックリとねばりつくように低くなって来る。それが何を意味するかを圭子はよく知っているらしく、真剣になって欣二の身体を誠から引離そうと力一杯に押している。双葉も少し前から、立って行って圭子と一緒になって欣二を取りしずめにかかっている)
誠 ふ!(歯をむき出して欣二を嘲笑して置いて、柴田に)ですから、僕は、僕等と全く同じ立場を取れと無理にお父さんに言っているんじゃないんです。又、そんな事はお父さんに出来る筈がない事は知っています。お父さんの立場が、どっちの方向に向いているか、その事を僕ぁ――
欣二 (圭子のからだを払いのけながら、誠の言葉をたち切って)なあんだよう? (誠に)そんならねえ、兄さん、今まで君が食いつぶした俺達の分を、吐き出して返してくれよ。よ? 兄さんはズーッと百円しか内に入れてないねえ、そうだろう? いまどき、百円でたりると思うかね、一人の食費が? それも、いまの社に、戻れるようになった四月か、五月からだ。それまでは、一文も入れてねえんだ。そのぶんを誰がどうしていると思う? 兄さんみたいに立派な口をきくやつが、人を犠
前へ 次へ
全142ページ中133ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング