そんなだったから――良い、立派な人達の考えたり言ったりする事が国民のみんなから浮き上ってしまったから、戦争なぞ起きてしまったのよ。私そう思う。私達はもう、あんな事を繰返したくないわ、繰返すのは、ごめんだわ! シャンとして、すなおに謙遜に、卑屈にならないで、誇りを持って、勇気を出して立直って行かなくちゃならないのよ! だのに、そんなワイワイワイワイばかり言って! はずかしいわ、私達は! はずかしい――(ヒステリックに泣き出してしもう)
誠 (それをたち切って)双葉、もうよせ! だから僕ぁ言っているんだ、国民の頭を混乱させ、愚弄した末にファッショの御用学者になり果てた民族主義者の事を僕ぁ――
欣二 (それをたち切って)おいおい兄さんもういいじゃないか。わかったよ、わかりました! ヘヘ、なんでもねえ、後になりゃ、なんとでも言えらあ。後の祭って、そこいらの事だね。後の祭で茶番狂言が栄えているようなもんで――嘘だと思ったら、兄さんなんぞのお手のもんの新聞でもいい。去年の八月三日の新聞と、十月三日の新聞を引っぱり出して、くらべてごらんなさい。びっくりもんだ。昨日の淵は今日の瀬となるか、すると今日の
前へ 次へ
全142ページ中126ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング