だけが寄り集って、劇作家全体の生活をおびやかし、引いては、これから劇作を以て身を立てようと志す者達の路を実際的にふさいでしまう事になるからである。そして、そのためにこそ僕は、その様な劇作家の「人生意気に感ず」式の、吹けば飛ぶような軽薄な感傷(それ自体としては概して善意に基くものである事を僕が知っていても)を心から憎む。この点に関しては笑わば笑え、罵らば罵れ、僕は今後いよいよ益々「金にきたなく」なろうと決心している者だ。それは僕の「本職の道」が自然に僕に命じることだからだ。
君達俳優が「良心的な仕事なら、無料でも持ち出しでもやろう」とする態度を僕が、この様に執拗に憎むのも、同じ理由からである。
9
もう、わかったか? まだ、わからぬか? 丸山定夫よ。
悪い事は言わぬ。一日も早く苦楽座をよしてしまいたまえ。なぜならば、苦楽座はその出発点に於て既に根本的に誤っているのだから、将来健全な姿で永続して行くことは決して出来ないからだ。しかし、せっかく始めたものだから、なんとかして続けてやって行きたいとならば、それはそれでよいから、苦楽座の今後のやり方の根本を改造したまえ。つま
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