に何の原因も無いのに――少なくとも僕等には見当の附かない原因から、初めから衰弱している。多分、もう暫くすれば、苦楽座のあげる何かの種類の悲鳴を聞けるであろうと僕は思っている。
7
次に君は言っている。
「一つの劇団、又は一つの演劇運動は永続する必要がある。永続とは忍耐と聡明である。忍耐と聡明は熱情と勇気より尊い。花よりも実が尊いように」
正にその通りである。僕の言いたい事をソックリ君が言ってくれている。
だから――と僕は次に言う――君は、他ならぬ新築地劇団の指導的なメンバーの一人であったのだから、その新築地劇団を永続するように全心身の努力を払ってくれればよかった。それを君はしなかった。少しばかりの貧乏に耐え切れずに君はそこから逃げ出してしまった。しかしこれはもう既に過ぎた事であるし、かつ新築地が永続する事が出来なかった理由は、後述するように、主として他の所に有ったのだから、此処では言わずともよろしい。
だから、と僕は次に言う――君は苦楽座を永続させてくれるがよい。これは反語では無いぞ。僕が今この様に君を打ちたたく言葉を吐き散らしているのも、結局、せっかく始めた君
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