えーい!
杉村 おいよーうっ! オーライだようーう!
仲蔵 うんと!(と竿を使いながら)よし、よし、よし! その調子だ! この瀬を出て、橋ば一つくぐりゃ、すぐと日田の盆地たい、後は居眠りしてん、筑後川へ出るけんなあ! 頼んだぞう!
伍助┐
├(それぞれちがった距離から)おいよう!
杉村┘
中年過ぎの女 (岸の道から呼びかける)ようーい! そこん行く筏あ、池の原の丸市の衆とちがうかあ?
仲蔵 (聞きつけて)あーい、そうたい! 丸市の仲蔵だよーう! 清水のおばしゃんじゃねえかい?
中年過ぎの女 そうだ、そうだ、そうだ!(と自分も岸の道を筏を追って小走りについて来ながら)どうもそうじゃなかろかと思うたら、やっぱし仲しゃんかあ。その筏あ、どこまで流すとなあ?
仲蔵 佐賀まで流すとです!
中年過ぎの女 そうかよう! 気をつけて行って来なよーう!
仲蔵 あいよう! そいじゃ、清水さんの親方によろしうなあ!
中年過ぎの女 (立ちどまったと見えて、みるみる遠ざかる声で)良い若えしが、三人とも、佐賀へんでおかしなオナゴなんどにのしあげたりせんごつねえ――!
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仲蔵をはじめ伍助
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