いうわけじゃ無えけんど、仲蔵がおのしにどんな事云うたちうてん、そんつもりで附き合わんきゃいかんというこったい。
お花 そんつもりたあ、どんなつもり? 仲さんば、あたしが好いちゃ、悪いっかい?
健二 悪いちゃ云えんけどよ……
お花 好きな人ば、嫌うわけにゃ行かん。
健二 ……うむ、そりゃ、行かん。けんどさ、俺の云うのは……
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ガサガサガサと下生えの音をさせて、二人の足音が沢に出て行く。
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お花 あーい……六平の小父さあん!
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六平爺がユックリと掛小屋から顔をのぞけて、
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六平 おーい、お花坊と健二かよう!
健二 お茶をもらいに来たぞう。
六平 ちょうどよかった。俺もソロソロめしにしょうと思っちょったところて。さ、はいんない。
健二 (小屋に入りながら)わあ、えれえ見事なモミジたい!
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ピタピタと大木の肌を叩く。
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六平 フフ、この引き方で、ジョリンモクが出るとたい。佐賀からの注文でな、これば床板にするちう、町にゃゼイタクな仁のござるげな、は
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