仲蔵 (それを受けながら。……以下適当に酒を飲みつつ)いつもの事だが、うまかなあ。なあ五郎しゃん!
五郎 (これはモグモグなにか食いながら)うむ、うまか。
仲蔵 五郎しゃんに、うまかとが、わかるかな?
五郎 このエビとキントンなあ、うまか。
仲蔵 えっ? エビとキントン? そうか、ウフツフ、エビとキントンかな?
およね ホホ、もっと、じゃ、持って来てもらいまつしうか?
仲蔵 (ふきだして)アッハハハ! アッハハ、フフ、アッハハ!
五郎 なんな?
仲蔵 ハハ、俺あ、また、博多節のこつを……フフ、およねしゃんの博多節のこつを、ほめたら、よ、五郎しゃんなあ、エビとキントン……フッフフ、ハッハハ!
およね ホッホ、ホ、ホ!
五郎 (これも釣りこまれて笑いながら)ばってん俺あ……ハッハハ、そりゃ、博多節もうまかです!
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それで仲蔵とおよねが声をそろえて笑いだす。障子の外の大川をギイギイと船をこいで行く男が、これも何となくこちらの笑いにつりこまれて、きげんの良い声をあげてからかう。
[#ここで字下げ終わり]
船頭 ワッハハハ、アッハハ、かよう! ハハ、……(歌になる――
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