なの? いや聞き方が變だけど、いつ頃から――?」
「戰友ですよ。戰爭中、いつしよだつたんです」
「へえ、三人とも?」
「ええ。僕と貴島はクェゼリン以來ズーッといつしよで、佐々はすこし後で、僕と貴島がオキナワにまわつてから、内地から補充でやつて來て、いつしよになつたんです」
「君は、そいで、今どつかで働いてるの?」
「職工ですよ」
「どんな仕事?」
「イモノ。流しこみをやるんです」
そう言つて彼は、驛のプラットフォームの電燈の光に兩手のひらをかざすようにして見せた。ちようど野球のグラブのように肉が厚い。その甲や指のあちこちに、ボツボツと黒い大小の斑點があつて、よく見るとその一つ一つが二分三分ぐらいの深さの穴になつている。既に完全に治つているキズあとだが、その鉛色になつた肉のえぐれ方が、生まキズよりも酷薄な影を持つていた。
「湯のとばつちりが飛びつくんだ。顏はメンをかぶつているから、いいけど、そうでなきやイボガエルみたいになつちまうね」言いながら、自分の言葉でおかしくなつたと見えてニコッとした。
「湯と言うと?」
「金屬の熔けたやつ――」
「ふむ」
「でも、もうダメですね。以前は大きな熔
前へ
次へ
全388ページ中59ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング