かしい氣持などおきませんでした。滿足――異性に接しての、生れてはじめて滿足を味わつたような、はじめて、一人前の男になつたような――シッカリと腹ごたえの有るような、それでいて、何かトテツも無く自由に解放されたような感じがしたのです。僕はゲスだと輕蔑されても變態だと笑われても、かまいません。
 ルリも、もしかすると、あの時、僕と同じような感覺を味わつたのかも知れないと思います。
 僕はタミ子に眼をやり、フッと出征前夜の闇の中での感覺が、よみがえつて來ました。あれは、この女だつたのか? この女では無かつたのか? わからない。どうでもよい、そんな事は。いいよ、いいよ。……そんな氣がした。
 その時、強い匂いが來ました。ムッとする木の葉や草いきれに混つて、しびれるように、僕は不意に、あの晩の女の肌の匂いをクッキリと思い出したような氣がしました。頭がボンヤリして來たのです。……しかし、實は、その匂いは、ルリの身體の匂いだつたのです。そこにウットリとしやがみこんでいるルリの身體からたちのぼつて來る匂いでした。

        45[#「45」は縦中横]

 ……………
 それから、僕ら三人は、この
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