に妙な事が起きました。いや、僕の中でです。ブリッ! と何かが破けたのです。たしかに音を聞いた氣がします。同時に、カーッと血が頭に驅けのぼつて來て、一度に猛烈に腹が立つて來たのです。ルリに對してです。いや、それはルリに對してではありません。もつと別の――そう、なんだかハッキリわからないものへ對してです。しかし、やつぱりルリに對してだと言えない事は無い。なぜなら、そうして近づいて來たルリに、いきなり、おどりかかつて、なぐりつけはじめていたのです。狂つたようになつていた。いや、ホントに狂つていたにちがい無い。猛烈な勢いでルリの顏と言わず肩先と言わず、なぐりつけた。ルリのツルリとキメの細かい青味がかつた頬が、僕の平手打ちの下でビシッ、ビシッと濡れたような音を立てたのを、僕はおぼえています。あとはどれだけ、なぐつたのか。「ちきしよう! ちきしよう!」と口の中で唸るようにして、しまいには、ルリの襟髮を左手で掴んで、右手でなぐりつけていました。ルリは、はじめチョット抵抗しましたが、直ぐにグタッとなつてしまい、なぐられるままにしています。そのまつ青な、死んだような、眼がつりあがつてしまつたような表情を
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