リ話してしまつたそうです)、あちこちした末に、久保正三の所へ行つて、僕の現在のありかと、タミ子との事を聞いて、その足で此處にやつて來たと言う事は、後になつてルリ自身から聞いたことです。その時はただ、ドキッとし、まるで、射すくめられたように動けなくなつただけです。ルリは、ほとんど毒々しい位の憎惡のこもつた眼で、僕とタミ子を見つめているだけで、なんにも言いません。その眼の中には、今までの彼女には無かつたすくなくとも、それほど明瞭に現われた事の無かつた嫉妬……なんと言いますか、初めて一人前の女としての嫉妬の色がギラギラと光つています。それが、僕とタミ子の前に立ちはだかるようにしているのです。互いの位置も惡かつたのです。そこは狹い坂道で、ルリは、上の方からのしかかるように突つ立つて、睨みおろしているんです。互いに身のかわしようが無いのです。
 タミ子は、これをどんなふうに受取つているか、僕にはわかりません。ただ、ボンヤリと立つて、ルリの方を見上げています。そのうしろ姿と、それに半分ダブッてこちらを向いたルリの姿が、僕の眼には、一つの畫面になつて、燒きついて來ました。地球の運行が不意に停止してし
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