子供づれの夫婦者の姿などもチラホラ見かけました。
 不意に僕は泣きたくなりました。そして、口の中で「お父さん、僕はどうしたらいいんです?」と繰返し繰返し言つていました。そういう癖が最近に僕に出來たのです。ナサケ無く、やりきれなくなると、ひとりでにそれが出て來るのです。その時もそれを言いながら、僕はチョッと下を向いて歩いていたらしい。タミ子がフッと立ち停つたので、なんの氣も無く、前の方へ眼をやると、タミ子から三四歩、僕から六七歩の坂の上に、こちらを向いてルリが立つていたのです。例の山梨での身なりと同じで、顏色は、附近の樹の葉の色の反射のせいだけで無く、まつさおで、眼は射るようです。大型の袋のようになつたハンドバッグを握りしめた右手がブルブルとふるえているのが眼につきました。

        44[#「44」は縦中横]

 僕はドキッとしましたが、しかし不思議な事に、ルリの出現そのものは、それほど意外な感じはしませんでした。動てんしてしまつたために、そんな事を考えている餘裕も無かつたとも言えるかもしれません。ルリが、僕の後を追つて東京へ出て來て、(僕が女を搜している事は、久子さんがスッカ
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