は無い。ただ、それ以上口をきく氣は無いようで、ションボリ立つているだけ。その拍子拔けしたような所が變と言えば變と言える。
「さあ、歸ろうよ」と古賀さんは女に向つてチョッと片手を差し出すようにし、「いえね、どう言うわけだか、時々此處に來るのよ」と、僕を見おろして笑う。
 僕は女を見た瞬間に、兩足から力が拔けて、立つておれなくなり、そこにシャガンでしまつていたのです。
「フフ、もしかすると、こんなふうな所で男を相手に商賣してたかも知れんね、おおきに。ひところ、こんな場所がずいぶん有つたからなあ。……それを、なんとなくヒョッと思い出すんだろうか? 頭がクシャクシャすると一人手に此處へ來る」
 平然としてそう言つている古賀さんの言葉が、なにか遠くの方に聞える。
 僕は、そうしてシャガンで、その立つている女を見上げたまま、實に長いこと口もきけず、何も考えられず、立ちあがれないでいたのです。……

        43[#「43」は縦中横]

 ………………
 それから僕は、ほとんど毎日のようにタミ子のアパートへ行つて見ました。タミ子は、きげんよく僕を迎えてくれますが、ほとんど話はしません。人が目
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