、深い鋭どい眼でジッと僕の眼の奧を覗きこむようにした。……僕は不意に身の引きしまるような氣持におそわれ、そして、どう言うわけか古賀さんを急に好きになり、尊敬しはじめていた。古賀さんは僕の眼の中に何を認めたのか、急にホッとしたような、前と同じ明るい調子にもどつて、
「オー・ケイ! と、まあ、おどかしといてさ。ハハハ、とにかく、そのタミさんが、いつだつたか、お腹が大きくなつちまつてね、そいつを私が處置してあげた事があるんだ。フッフフ、なあに、あんな商賣していたつて、お腹が大きくなる事だつてあるのよ」
輕く言うのです。僕にはズキリとこたえました。いつぺんに、何もかもわかつた氣がする。
古賀さんは、逆に今度は僕の方を見ないようにしてズンズン坂道を登つて行きながら、
「それに、タミさん、今、病氣でね」
と、はねとばすように言う。僕はビシビシと、何か、ムチでなぐられるような氣がして、自分が今どこを歩いているのか、なんにも目にはいらない。そのうちに「ここだわよ!」と古賀さんに言われて見ると、そこは小さな崖の下の凹地にゴタゴタと立ち並んだバラックの、簡易旅館ともアパートとも附かない、ガタガタの平
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