の働らきが、久子さん一家のためにも、かなりの役に立つことが僕にわかります。久子さんも時々「貴島さんが來てくれてから、とんだ助からあ」と言つて笑うことがあるのです。僕は愉快でした。とにかく、主人がまだ歸らない留守家族の一つを、こんな俺の力でも、すこしは支えるタシになつているのだ、と思つたのです。それに、久子さんは僕にとつては、まるで女のような氣がしないので、夫の留守の家に、その若い妻といつしよに暮している、と言つたような氣持の負擔がほとんど僕に無いことも、ありがたいのでした。その點ではおもしろい事に、他から見てもそう見えるのか、最初のうち、多少は妙な眼で見ていた村の人たちも、いつの間にか、僕のことを久子さんの實の弟か又は親類の青年でも手傳いに來て働らいていると見るようになつたらしいのです。お婆さんも、それから敏雄という幼兒も僕になじんで、僕を好いてくれました。
 農事の暇を見ては、豆やイモや米や麥などをかついで上京します。途中でその筋の手につかまつた事や、列車から飛びおりて逃げたりした事が數囘あります。しかし、それも久子さんの言う通り「法律をぐぐつてしているのだから、しかたが無い」とあき
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