節では、いつもこうだそうです。普通の概念での「波の音」なんて言うものではありません。ガーッと地の底からゆりうごかして來るのです。耳で聞くことの出來るようなものでは無い。聞こうとしようものなら、トタンに頭が變になつてしまいます。ただ、その音と震動の中に身をまかせているより仕方の無いものです。
その中で、人は眠るのです。土地の人はもちろんですが、よそから來た人でも、しばらくすると、その中でグッスリと眠るのです。現に、僕等三人も、ここへ來てから二日にしかならないのに、實によく眠れます。
三好さん
僕は、あの女を搜し出したのです。
あの女――すくなくとも、僕には、あの女としか思えない女を、やつと見つけ出しました。そうです。考えて見ると、これが果してあの女であるかどうか、あやしくなります。證據はなんにもありません。あの女も、なんにも言わないのです。では、僕に、これがあの女であることが、なんでわかつたのだろう? 身體の匂い?
そうです、そうだとも言えます。しかし、待てよ、ホントに匂いで、それがわかつたのか?
いや、そうでは無い。だつて、あの女を上野で見つけて、最初にあの女のそばに近寄
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