、大體、このリストの女たちの中に、あの夜の女が居るかも知れないなどと思つた自分が、最初からどうにかしていたのだ。夢だ。それに、大體、あの晩のこと自體が夢ではないのか。あんな事はホントは無かつたのかも知れない。それは全部自分の幻想だつたかも知れない。復員直後、自分の頭の調子がおかしく、黒田組の中で酒びたしになつたり、阿片をやつた事もある――そういう状態でいた自分の頭の中にフッと浮びあがつた幻想を、いつの間にかホントにあつた事のように思いこんでいたのではあるまいか。……とにかく、こんな當ての無い搜しものなど、いいかげんに、やめた方がよい――
 その晩、行きあたりバッタリに泊つた旅館の寢床の上にあおむけに寢て、僕はツクヅクそう思つたのです。搜し歩くことに疲れたとも言えます。たしかに、よいかげん疲れました。夢みたいな事だとは最初からわかつていたが、とにかく初めのころは、その夢に一所懸命になれましたが、今はそれほど夢中になれなくなつています。その上に、實は、身をかくす時に黒田策太郎から渡された金も、ほとんど使い果してしまつて、もう僅かしか殘つていないのです。なんとかしなければ、探索して歩くことは
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