だのコナシ、それからアゴの所の刀キズらしいものの有る下品な、ソソケ立つたような顏などで、一目見て、バクチ打ちかゴロツキのような事をしている男だと自分にはわかつた。それも、大した格の男では無い。グレン隊あがりの自分免許の兄き分と言つた所か。永らく黒田組に居たせいで、自分のそういう目は鋭くなつている。……そして室に入つて來た態度から、默つてジロリと自分を見上げた目つき、それから安子の方へ
「どうした――?」
と言つた言葉の調子などから、これが現在の安子の男であることが、わかる。
ああそうか。……自分は男に默禮して室を出て行きながら、それならば、さしあたり、別に心配することは無いと、妙な安心みたいなものを感じた。同時に、おそろしくミジメな氣持になつている自分に氣附く。
外に出て、Tの場末のゴミゴミした通りを驛の方へ歩いて行きながら、どうしたのか急に悲しくなり、胸がせきあげて來て、涙がとまらない。こんな事は自分にはメッタに無い事だ。通る人が見るので、涙がとまるまで電柱のかげに立つていた。そして、椎名安子を、又しばらくしたら見舞いに來ようと思つた。
志村小夜子。
東京の郊外のSに住ん
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