て殺してしまつたじやないか。だのに、その御本人夫婦はノメノメと生きている」と言うわけなり。久子が歸つて來るや、親類の家にあずけて置いた田畑を返してもらい、老母と幼兒をかかえて百姓仕事をはじめ、最初の間は馴れない事で、ずいぶんつらい思いをしたり失敗もしたが、それから一年あまり、とにかく曲りなりにも農事がやれるようになり、三人の家族が細々ながら暮して行けるようになつた事なども、村民にとつては反感の種らしい。村の交際からは一切絶たれ、事ごとに迫害されて來た。心ある村民の中には、こんな不當な迫害に反對する者も少數ながら居るには居るが、その種の人は、すべての事に積極的に表立つことを避けるため、居ないのと同じ。迫害はしつこい。しかも、これを表沙汰にして警察などに訴え出られるような形を取つて來るのでは無く、もつとインビな方法で來る。役場や民生委員などは、これを知つていても知らぬ顏をしている由。右にあげた用水路についての紛爭のような事は、始終起る。
「はあもう、馴れちまつたですよ。また、馴れでもしなきや、とても、やつて行けませんからねえ。ハハ、今じや、村の衆からいじめられないと、なんだか物たりねえよう
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