度を示す筈は無い。(――この想像は當つていました。いや、實は、僕の想像以上で、老婆は、まだ歸還しない杉雄のためにカングリの嫉妬をしたと同時に、現在この家の柱になつて百姓をして働らいているのは久子一人であるため、久子がどこかへ行つてしまいでもすれば、すぐに自分たちは生きて行かれなくなる、それを怖れて、本能的に僕を警戒していたのです。後になつて、僕という人間がそんな者ではない事がハッキリわかると、このお婆さんは、ひどく人の良い正體を現わしたのです。實に人間がその時々に示す姿というものは、變なものなんですねえ。)……その時には、そんな事はわからないものだから、僕はスッカリ不快になり、口をつぐんでしまつて土間の隅に突つ立つていました。
そこへ、庭場の方から、人の足音がして、二人の人間が入口に立つた。一人は久子で(これも後でわかつた事で、そしてビックリしたが)、モモヒキにハンテンを着て、手ぬぐいで髮をつつんで鍬をさげた、ただの百姓女です。それを追いかけるようにして後からつづいて來たのは中年の、これもノラ着姿の農夫で、二人とも何かブリブリしている樣子。久子はジロリと僕の方へ目をくれたが、何も言わ
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