とつては孫。杉雄は、終戰と共にシベリヤにつれて行かれ、久子だけが(――當時、姙娠中)引き上げて來た。杉雄はいまだに歸還せず、久子、老婆、幼兒の三人でこうして暮している。
――それはしかし、久子がもどつて來てズット後になつて聞いてわかつた事で、その時は、どうにも取りつく島が無く、目が馴れてだんだんにハッキリ見えて來た屋内の、極端にみすぼらしい樣子や、老婆の病みつかれて、よごれきつたフクロウのような姿と顏を見ながら、僕は何かとんでもない所に來てしまつたような後悔の氣もちでいた。老婆は、それからブツブツブツブツと非常に不機嫌そうな、所々意味のわからない方言で、根ほり葉ほり僕のことをたずねる。それが實に、しつこい。僕が答えないでいると、同じ事を何度でも繰返して來る。「お前さま、おかみさん、有りやすかい?」などと言う。不愉快になつて來た。そのうちにヒョッと、これはもしかすると、久子を不意に訪ねて來た若い男の僕を、久子と何か變な關係でもあるか、有つたかしたのではないかと思つているのではないかと、氣がついた。そうで無ければ、いくらモウロクした百姓の老婆でも、初めて逢つた人間に、こんなに意地の惡い態
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