そう感ずるだけで、なぜに愚劣なのか、なぜに踏みつぶしたくなるのか、そのへんの解釋は僕の力では出來ない。――それで、僕は自分でもイヤになつた。そんな連中に會つて歩くことが、すつかりイヤになつた。第一、東京という所がイヤになつてしまつた。
それで田舍に行つて見ようと言う氣になつたのです。幸い、リストの中に、地方に住んでいる人が二三人おります。その中に、山梨縣にいる久子と言う人があり、その住所書きは、あなたから作つていただいたリストには書いてありませんけど、立川景子さんから聞いて書きとめてあります。地圖でしらべて見ると、Nという驛から大して遠くも無さそうです。それで、すぐに、そこへ行つて見ました。これが先ず輕率だつたのです。
行く前に、もう一度景子さんに會つて、もうすこし詳しい事を聞けばよかつたのでした。そうすれば、その山内久子が、もう既に結婚している人で、しかも戰爭中に夫と共に滿洲にわたつていて、したがつて、僕が出征した時分は、彼女は滿洲に居た。だから、僕の搜している女などではあり得ないと言うことが、わかつたわけです。もつとも、そんな事情は立川景子は知らないのかもわかりません。「山梨縣
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