た女の人たちの事を語ると言つても、チャンとツジツマの合つた、自信のある語り方は出來ない。だけど、僕はあなたに語らないではいられない。したがつて、あなたは僕の書くことをあまり信用なさつてはいけません。つまり、僕があの女の人は良い人で立派なことをしていますと言つても、あの女の人は惡くつてパンパンみたいな事をしていると書いても、どちらも、直ぐに信用なさらないように。僕ごとき「幽靈」――フラフラ、グラグラの人間に、パンパンが惡いのか、良妻賢母が善いのか、又はそのアベコベなのか、わかるもんですか。そして、こんな事を言う理由の一つは、リストの中の女の人たちは、かつてのMさんとあなたの共通の知人の人だろうと思うので、そんな人たちをいくぶんでも、僕の見方でケガすことは、その人たちに對してもあなたに對してもすまないと思うからです。
もう直ぐ夏です。
僕は今、山梨縣の田舍の貧しい農家に泊つていて、その家の農事の手傳いをしています。ここに來てから、すでに一カ月ぐらいになります。今、麥の取り入れを手傳つています。取り入れはほとんどすんで、一兩日後から、「コナ」しに――調製のことらしいです――かかるそうです
前へ
次へ
全388ページ中305ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング