の返事がアイマイなものですから段々に興味をそそられたらしいのです。Mさんに關係のある事らしいので、本氣で知りたい氣持もあるようです。そのうちに、ブランデイの醉いが出て來て、聞き方がシツコく、からんで來ます。しまいに、「わけを話さなきや、教えてあげない」と言うのです。僕は、かなり永いことガンバッていましたが、遂にしかた無く話す氣になりました。一つには、このままだと、もしかすると死んだMさんにルイを及ぼすかも知れないと氣が附いたためもあります。それに、十が十、この立川さんが當のあの女では無いという確信があるのと、色や戀も相當にしつくして來て、僕から見るとスガレきつたような相手であるために、話しやすい事もありました。それで話しました。話すと言つても、もちろん、あの晩のことをくわしく――僕があなたへの手紙に書いたように細かく具體的に話したのではありません。ただ「出征する前にMさんの引き合わせで逢つた女の人」と言つたふうに、なるべくボカして言いました。
「名がわからないと言うと、そん時、聞かなかつたの?」
「ええ」
「ふうん。……顏はおぼえているんでしよう?」
「よくおぼえて[#「「よくおぼえて
前へ
次へ
全388ページ中287ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング