上なども一應掃き出されてそこらに散らかつている物も片づけられているだけに、そのきたなさがムキ出しになつて、救われようが無い。電燈も大部分消されて、二つ位しかともつていない。その隅の壁にもたれた景子が横坐りに太つた素足を投げ出して、顏中のシワを深めてブランデイをグイ飮みしている姿が、まるでどす黒く、ゆがんだ繪のようです。その足の先きを、話しているうちに、チョロチョロと鼠が走り過ぎて行きました。
晝間でコリていたので、僕はいきなり本題に入りました。リストの名の中から立川さん自身だけを拔かして十四人を讀み上げ、その中に知つている人が居たらその消息を聞かしてくれと言いました。
「そうね、三四人なら知つてるわ。だけど、たいがい、もう大分以前の話だから、かなり變つちやつた人もいるんじやないかなあ」
「いいんです。それは僕が調べますから」
「そん中で、徳富さんと、本田の久ちやんの事なら、かなりよく知つてるわ。徳富さんは今たしか葛飾にいる。久ちやんは山梨縣の田舍よ。……だけど。あんた、そんなふうに女の人ばかり訪ね歩いて、どうしようと言うの?」
それから、その理由を根掘り葉掘り聞きはじめるんです。僕
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