年はもつね。ウフフ!」
そこで僕は、いつたんそこを辭し去り、その夜九時ごろ再び訪ねて行きました。
たぶん飮める口だろうと想像してブランデイを一本さげて行くと、案の條、立川さんはよろこんで、ワーイと叫び聲をあげ、いきなりそこにあつた茶わんで二三ばい、立てつづけにあおりつけました。
樂屋じゆうガランとして立川さんと僕以外には誰もいません。此處に寢泊りしている者が他に二三人あるそうですが、舞臺がハネルのと同時に外に出かけて、夜おそくでなけれは戻つて來ないそうです。「フン、遊びだか、商賣だかね。どうせ、あたしなんか、そんな元氣無いや」と景子さんは言つていました。その誰も居ない夜の樂屋のガランとした一種異樣な寂しさには、おどろきました。僕はいろんなインサンな場所もずいぶん見て來たのですが、あんな感じの所はほかにありません。坐つていると、どこまで氣がめいるか、わからないのです。きたない事もきたない。晝間の時は、男女優がいつぱい居るし、脱ぎつぱなしの衣しようが散らかつているし、壁にはいろんなものがぶらさがつている――まるでゴミ箱の中のようなきたなさだつたが、まだあの方がよかつた。今は、ゆかの
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