を大げさにして、速度を早くするだけだ。變えはしない。大體、戰爭のために、ぶちこわしてしまつたり、變つてしまつたりするようなものが、俺の中に確立されていただろうか? そんなものは、はじめから俺の中に無かつたのだ。無かつたものを、ぶちこわしたり、變える事が出來るものでは無い。それを、自分は戰爭からぶちこわされたなどと思つていた所に俺の虫の良い、甘ちやんの感傷が有つた。戰爭は、ただ、俺たちの十年分の生活を一年間にスピードアップして見せてくれただけだ。そのスピードの中で、俺など目をまわしただけだ。そして、それに何か深刻な意味があるように思つていただけだ。そうなんだ。實は、ホントにそこに在つたのは、ただ弱虫の青年に共通な人生煩悶みたいなもの――藤村ミサオ流のものとチットも變らない甘つちよろい感傷があつただけなんだ。ニヒリズムなんて、ドエライものじや無かつたのだ。
むしろ、戰爭というもののスピードアップの生活の中で、俺たちは俺たちの青春時代を生きたのだ。それは、「生」だつたのだ。俺たちの淺薄な目は、そこに「死」だけしか見なかつたが、しかし、平和な生活にだつて死は常に自分のソバに在る。ただちがつて
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