かな人間性と言つたようなものを持つていた人で、そのために本能的に進歩的な人だつたし、戰爭嫌いでした。ですから、日本のはじめた戰爭を始終怒り、そしてそのために同胞が、特に青年たちがドンドン死んで行くのを悲しんでいられた。戰局が次第に激しくなつて來るにつれて、酒でも飮んでいなければ、とても耐えきれなかつたのでしよう。醉うと、よく、泣いたり怒つたりしました。
その時も僕の顏を穴のあくほどシゲシゲと見ていてから、
「それで、それで君、貴島! 君あ、それで出征する氣か?」と、せきこんで言われました。
「ええ」
「ええ? ええだつて? それで、なんともないのかい? 今、こんな戰況の最中に出征するという事は、このなんだぜ、たいがいまあ、なんだよ。知つてるな君あ?」
「知つてます。それでいいんです」
「それでいい? いいか、それで? いや、そうさ、そりや、それでいいのかも知れん。いやいや、ちつともよくは無いけど、もうこうなつたら、どつちみち、出征したつて此處いらにマゴマゴしていたつて、どつちみち、もういけないのかもしれん。だから、それはしかたが無いとして、その童貞……つまり、せつかく男に生れついてだ
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