缺陷が有るのかも知れないと思つたことも二三度ある位です。
とにかく、そんなわけで、僕はそれまで女を知りませんでしたし、知ろうとも思いませんでした。ですから、Mさんから、そんなに言われて、かえつて僕の方がびつくりしたわけです。
それは、Mさんが僕のために開いてくださつた壯行會の席上でした。壯行會と言つてもチャンとしたものでは無く、Mさんが「君のための壯行會だから、ついて來い」と言われて、小さな飮み屋につれて行かれたのですから、席上にMさんの知り合いの女や男が三四人居たのですが、それらは偶然にそこでいつしよになつただけの人々で、ですから、ホントの出席者は僕とMさんの二人きりの壯行會でした。Mさんは、既に醉つていられました。あなたも御存じだろうと思いますが、あの頃、Mさんは、仕事以外の時はほとんどいつも醉つていられました。
Mさん自身の家庭生活が何か非常に亂れていたらしく、苦しんでいられた。その上に、戰爭というものに對して腹の底から悲しみ怒つていられた。あの人は理窟は言われませんでした。又、頭の中に理論的なものを、シッカリ持つていた人ではなかつたと思います。しかし、なにかとても大きい豐
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