ために復讐をする氣だつたのです。ところが、あの晩、杉田のあとから壕の外へ出て行つた僕の氣持は、實は國友の連中から殺されてもよい氣持でした。生きているのが、すこしめんどうくさくなつていたのです。
いや、そう言つてしまうと、すこしウソになります。そうではありませんでした。生きているのがイヤになつていたのは、あのしばらく以前までの事で、――その事で書きます。――特にあの晩は不意にあなたが來て下さるし、みんなで酒を飮んだりしているうちに、僕は非常にうれしい氣持になつていて、とても幸福でした。戰爭後、はじめてスナオな自分に立ち歸れたような心もちでした。そして久しく考えていた私の本心を今夜こそあなたに打ち明けてあなたの御意見を聞き、又それについていろいろ教えてもらいたいという氣になつていたのです。しかし杉田や久保がそばにいますし、久保はまあかまいませんけれど、杉田にはどうしても聞かせたくない話なので(――いえ杉田は實に良い男で私の好きな奴です。しかしキッスイのヤクザで僕などとはまるでちがつた世界に生きている人間なのです)もうしばらくもうしばらくと思つているうちに、あんな事が起きてしまつたのでした
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