、しばらくの間は歩くことが出來ず、現在でも時々うずき出すことがあります。杉田も二カ所ばかり傷を受けていました。しかし、これも大したことはありませんでした。杉田と私は、あれからしばらくの間、ある醫院に入院していました。
あの晩、久保に刺された向うの男は(そのことは、後ですぐ聞いたのです。黒田自身がしらべて來て教えてくれました)あの後どうなつたか、わかりません。案外大した事は無かつたかも知れませんし、或いは死んだかも知れません。萬一死んだとしても[#「死んだとしても」は底本では「死んだとしたも」]、多分、外部には全然知れないでしよう。あの連中はそうなのです。
しかしどちらにしろ、久保もバカなことをしたものです。久保は僕を傷つけた奴を許しておけなかつたのです。僕は戰爭中、オキナワで死にかけている久保を助けてやつたことがあります。それを久保は忘れないでいるのです。バカな奴です。しかし僕のためで無くても、久保と言う男は、いつたんそうしようと決心すれば、人の一人や二人はすまして殺す男です。彼奴は僕の知つている人間の中で一番恐ろしい、強い人間です。だからバカな人間だと言えます。久保はあの時、僕の
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